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12 キム・ヨナと崔承喜――美は細部に宿る
さて、Kポップスターたちのダンスを見ていて、ふと気が付きました。
彼ら、彼女らの、ちょっとなよっとした動きをよりトレーニングを重ね、鍛え上げ、洗練させると、キム・ヨナの動きになるのではないか、と。
少し色気のある、媚びたような動き。EXILEの男性的な曲線美とはまた違う、女々しい曲線。
そうですね、李朝の白磁のような悲哀の動き。(まあ、そんなに上等なものではありませんが)。
もしかすると、朝鮮の伝説的な舞踏家、崔承喜の踊りも、キム・ヨナのような動きだったのかも知れません。
崔承喜はピカソやジャン・コクトー、川端康成等多くの文化人を魅了し、愛された舞踏家だそうです。映像は見たことがありませんが、写真は見たことがあります。綺麗な人です。
写真に映っている仕草が、キム・ヨナに似ているような気がします。
そのキム・ヨナに関してですが、スピノザはバンクーバー・オリンピックのフリーの演技を見終えた瞬間、ああ、これは残念ながら浅田真央ちゃん負けたな、と思いました。
ジャンプを多用して、キビキビした演技を見せる真央ちゃん。
それに対して、キム・ヨナはしなやかな曲線的な演技で対抗します。
合唱コンクールで、超人的な技巧に挑む団体と、難易度はさほど高くない曲を、完璧に内面まで掘り下げて歌う団体との決戦を聴いているかのようでした。
で、真央ちゃん、僅差で負けたな。と思いました。
素直な感想です。
キム・ヨナの芸術点が、真央ちゃんの技術点を僅かに上回ったかな、と思ったのです。
その差、ショートプログラムと合わせて、一点か二点。そう思いました。
ところが、
蓋を開けてびっくりです。
キム・ヨナ228.56、浅田真央205.50。
その差、実に23点以上です。
トリプルアクセルを、完璧に決めたのに。この点差には、呆れかえりました。
そして、思いました。韓国、またやったなと。
審判の買収です。
買収は韓国人の性です。しょうがありません。
でも、なんぼなんでもやり過ぎでしょう。どうも、韓国人は、加減というものを知らない。
そんなことしなくても、多分キム・ヨナが半歩リードしていたでしょうに。そうすれば、オリンピック史上に残る白熱の名勝負として語り継がれ、伝説になっていたはずです。
それを、こんな形で汚してしまったのは、残念と言うしかありません。
そうした芸術性も、この間ロシアで開かれた世界選手権で、安藤美姫選手が見せた演技によって、超えられてしまったと思います。
特に、エキジビションのアンコールで見せてくれた、モーツアルトのレクイエム(鎮魂曲)のスケーティングには、圧倒されました。ほぼジャンプなしで、あんな演技が出来るんですね。
坂東玉三郎の仕草を見るかのような、絶妙で、繊細な手の表情。美は細部に宿る≠ニ言います。まさにそれを証明するかのような動きでした。
手を表現手段とする指揮者として、嫉妬しました。
取りあえず、Kポップなるものの検証は、一通り終えました。
まあKポップのファンの皆様には、お疲れ様と言うしかありません。
前にも書きましたが、蓼食う虫も好き好きです。好きなものは、好きでけっこうです。ただ、Kポップの方がJポップより水準が高い、などという妄言だけは、差し控えていただけると嬉しいかな、と思います。