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14 脅迫される? 金両基

 で、日帝の植民地支配を批判するために、金両基は、盛んに日本のロシア脅威論が、過剰防衛だったと言い張ります。
 しかし、そんなことは、不凍港ウラジヴォストーク(東方を征服する街)が欲しいがために南下政策を続けていたロシアの膨張政策を知っていれば、到底口に出せない暴論、妄言です。
 論評するのも、馬鹿馬鹿しい。
 そうして、ロシアに対する過剰防衛として、朝鮮を併合し、悪辣な植民地支配を行ったのが、日帝だというわけです。
 これでは、金両基は、あの帝国主義時代の世界史について、まるで無知だと告白しているのも同然です。
 食うか食われるか。
 まさに、あの時代はジャングルの掟で動いていた時代なのです。
 日本も、一歩間違えれば欧米列強の植民地になりかねない時代だったのです。
 いったん植民地になってしまえば、南米のインディオ、北米のインディアン、そして世界の宝石インド、さらにアフリカ大陸の黒人たちのような、壊滅的な打撃を受けていたに違いありません。
 あの時代の政治家が、ロシアを恐れず、それに備えていなかったら、スピノザはその政治家を軽蔑≠オます。
 そんな意識でいるから、むざむざと秀吉の朝鮮出兵を許し、明治日本に併合されてしまうのです。危機感がないこと、おびただしい。
 しかも、その危機感の無さを、日本にも共有しろと我が儘を言う。
 万が一、朝鮮半島をロシアが占領し、釜山にロシアの極東艦隊が集結することになったら、と考えてみて下さい。
 あのスターリンを生み、プーチンを生んだロシアですよ。
 スピノザは、そんなこと考えただけでゾッとします。日本が、とんでもない出費を強いられながらも、朝鮮を保護国化し、結局は併合せざるを得なかった所以です。
 その程度のことも、客観的に理解できないとは。大学教授の名が泣きます。
 こんなことでは、亡国の民となるのも仕方ありません。
 さて、こういう植民地支配などに対する、無知丸出しの妄言をひとしきり吐いた後、金両基はとんでもない暴言を吐き出します。p259です。
 長い発言ですが、肝心なところなのでそのまま引用します。

――それから、櫻井さんがずいぶん批判を受けたとおっしゃいましたが、私も同じ経験はしています。テレビや新聞へのコメントで「歴史的事実を求めるアジアに対して、日本は歴史認識で返してくる。事実を確認せずにどうやって歴史的認識を示せるのか」と見解を述べると、「お前は日本の公務員で、日本国民の税金で食べてるんだろう」と抗議が来ました。NHKの「クローズアップ現代」という番組で、日本とアジアの歴史認識や歴史教科書、日本のイメージなどについて解説したところ、「爆弾を仕掛ける」とか「殺してやる」といった電話があちこちからかかってきました。昔、金嬉老事件にコメントしたとき「おまえは、日本の法律を認めないのか。それなら自分の国に帰れ」と匿名のハガキが来ました。
 こういう抗議の声や手紙には、声の主や差出人がどこの誰だか分からないのです。(原文ママ)名前を名乗らず、住所が出鱈目だったり、書いてなかったりする。抗議するのは構いませんが堂々とやってほしい。闇討ちはアンフェアであり、好ましくない。私は櫻井さんの「強制連行を示す資料が出ていない」という意見に対して、本人の目の前で指摘し、反論したわけです。結果的に見解に違いがあることははっきりしたわけです。しかし、新しい資料が出てきて、違う事実が分かったら、素直に認め合うことが必要だと思う。――

 つまり、こういうことですね。日本人は、「爆弾を仕掛ける」とか「殺してやる」などという抗議・脅迫を、匿名≠ナしか行うことの出来ない卑怯者である。と、こう罵っているんですね。
 おまけに、このページ、p259まで来ても、金両基側は「従軍慰安婦の強制連行」を具体的に示す一次資料を、何も提示できなかったことが、文面からお分かりだと思います。

「事実を確認せずに、どうやって歴史的認識を示せるのか」

 という一行は、笑うべきところなんでしょうか。
 そもそも、先にも引用しました「あとがき」で、金両基はこう書いています。
「証言者の証言の重さを忘れてはいないか」と。
 つまり、金両基が示すことの出来た証拠というのは、金学順を初めとする嘘つき婆さん≠スちの「証言」しかなかったということになります。
 これは、上野千鶴子の発言と、とてもよく似ています。
 朝日新聞出版発行の「論座」誌上で行われた、従軍慰安婦に関する討論において発せられたものです。なにせ「論座」ですから、保守系の論客は、日下公人氏一人だけでした。
 その討論で、感情論に基づく持論を、さんざんぱら日下氏に論破された上野千鶴子は、最後に悔し紛れにこう言います。

上野「一番基本になるはずの当事者証言に皆さんあまりお触れにならないのが私は不思議で仕方がないんです。ご本人たちが『強制があった』とおっしゃっている事実をどのように受け止められるのでしょうか(後略)」
日下「ご本人は『自分が進んでやった』とはそれは言わないでしょう。『強制された』と言うでしょう。そう言わなければ自分の親戚全体に迷惑がかかりますからね」
上野「今のご発言はご本人がうそつきだとおっしゃったのと同じことになります。それだけ申し上げておきます」
日下「はい、そうです」
(「論座」2004年2月号。討論最後のまとめの部分です)。

 上野千鶴子の発言は、弱者の恫喝ですね。
 日下氏の答えは、端的で、とてもいいと思います。
 つまり、従軍慰安婦の強制連行があったと主張する人々には、当の慰安婦の証言∴ネ外、なんの証拠もないことになります。そのことを、金両基も、上野千鶴子も自白≠オているんですね。
 スピノザは、法律にはあまり詳しくはありません。しかし、強姦、殺人などの凶悪犯罪で誰かを訴える場合、証拠が被害者や関係者の「証言」だけでは駄目なことは明白だと思います。
 まして、前述したように、コリアンは、嘘をつくことに対する禁忌がほとんどない。これでは、信用のしようがありません。
 また、人は、しばしば記憶を捏造します。
 1980〜90年代のアメリカで、精神分析を受けた患者が、幼児期に親から虐待を受けた、と分析医に述べることが相次ぎ、社会的な大問題になったことがあります。
 精神分析学者は、患者のその供述を信用してしまいます。ところが、信頼できる親戚や隣近所への聞き取り調査で、そのような事実は全くないことが分かったのです。
 つまり抑圧されていた記憶を精神分析によって思い出したのではなく、ありもしない記憶が捏造されたのですね。裁判沙汰にもなったこの手の事件の多くは、分析医と子供側が敗訴することになります。
(「記憶はウソをつく」榎本博明著・祥伝社p31〜32)

 もう一度書きます。人間は記憶を捏造します。

 本人の証言だから正しい、というのは、必ずしも成立しません。
 金学順を初めとする、いわゆる慰安婦お婆さんたちの証言が、裁判所だったり、講演会だったりする場所≠イとに、ころころ変わるのも、自分の記憶を捏造しているからだと思います。



 クライマックス直前ですが、ちょっと、寄り道します。一応、慰安婦繋がりということで。
 二〇〇六年九月二十七日のことです。2ちゃんねるが沸騰しました。青瓦台(韓国大統領府)が、盛大な自爆≠したんです。慰安婦は売春婦かどうか、と日本人・2ちゃんねらー、とコリアン・ネチズンがやり合っていた、そういう重要な局面で、です。
 青瓦台は、ついに日本政府が、慰安婦を強制連行していた証拠の文書を見つけた、と発表しました。そして、その文書を青瓦台のホームページに載せてしまったのです。
 それが、(資料B)です。

(資料B)

 ごらんの通り、これは、単なる慰安婦の募集広告に過ぎません。

 1944年と書いてあります。しかも、
「慰安婦を募集! 月給300円以上! 3000円まで借金が可能!」
 とまで書いてあります。
さて、1944年当時の貨幣価値です。
http://www8.plala.or.jp/shinozaki/s19-1944.pdf
 リンク先をご覧になっていただければ分かりますが、当時の警察官(巡査)の初任給が45円でした。現在の警察官の初任給は約20万円です。
 200000÷45=約4444です。つまり給与水準の上昇率は4444倍ということになります。
 では、慰安婦の月給300円に、この4444倍という物価上昇率をかけてみましょう。電卓があれば、簡単に計算できます。
 そうです。約133万円になります。
 月給133万円! ちょっとした会社の社長クラスではないですか。しかも、その10倍、1330万円までの借金が可能なのです。親に、少しぐらい借金があっても、ヘッチャラですね。
 おまけに、一枚は17歳以上、もう一枚は、18歳以上、と明記してあります。
 十二歳以上、なんてどこにも書いてありません。
 馬鹿が読んでも「売春の仕事だ」と分かりますよね。喜んで応募する者が、多分たくさんいたはずです。
(Enjoy Korea掲示板。伝統文化・伝統芸能カテゴリより)
 このEnjoy Korea掲示板にも、大変お世話になりました。NAVERという、韓国最大手の検索サイトが運営していた、日韓同時翻訳掲示板です。
 伝統文化・伝統芸能カテゴリでは、主に歴史認識に関して、日韓双方の論客が議論を戦わせていました。
 ところが、これがほぼ一方的な虐殺なのですね。
 日本側は、正確な一次ソース、例えば当時の写真とか、本物の史料(例えば「朝鮮王朝実録」など)を提示し、論理的に攻めていく。対して韓国側は、とにかく一途に日本が悪い、という先入観でソースもなしに攻めてきますから、簡単に殲滅されてしまう。(うっかりすると、韓国の歴史教科書や、TV番組がソースだったりしました。これでは、勝てっこない)。
 いや、このEnjoy Koreaに巣くっている(多分若い)日本人たちの知識の量と質には、本当に肝を潰しました。
 漢文、英文なんでもござれ。うっかりすると、韓国側のハングルの書き間違いを直す人まで出てくる。しかも、画像、映像の処理技術が凄く、あんたはプロか、と言いたくなるような連中がごろごろいます。文献の読み込みの深さなどから言って、確実に朝鮮史の学者と、専門の考古学者はいただろうと思います。
 あまりにも韓国側の分が悪いので、とうとうNAVERが、この掲示板の運営を止めてしまいました。
 かえすがえすも残念です。
 バファリン作戦、なんて愉快な事件もありました。
 韓国の最高学府であるソウル大学国史学科の権威、李泰鎭(イ テジン)教授が、史料の読み間違いをしでかして、Enjoy Koreaに巣くう悪辣・非道な日本勢にこてんぱんに叩きのめされてしまった、という事件です。
 まだリンクが生きているようですから、「バファリン作戦」で検索してみてください。愉快なこと、この上なしですから。それとも、このサイト「NAVER総督府」で検索した方が早いかも知れません。このサイトは、大変お薦めです。
http://soutokufu.s145.xrea.com/index.php?%A5%D0%A5%D5%A5%A1%A5%EA%A5%F3%BA%EE%C0%EFe
 この、慰安婦募集広告。多分漢字が読めなくなってしまった、ハングル世代の韓国人が上げちゃったんでしょうねえ。取りあえず、「慰安婦」、という読める漢字≠セけ見て、脊髄反射したんだと思います。大変韓国人らしい。
 で、このホームページが、Enjoy Koreaに晒し上げられて、青瓦台もミスに気が付きます。慌てて、ホームページから消したようですが、もう遅い。「慰安婦 募集広告」で検索すると、このページのミラーサイトを、いくらでも見ることが出来ます。
 ここで示されている、慰安婦の給料が、インチキ、詐欺の類でなかったことは、なんと、あの変態・毎日新聞が証明してくれています。(どうして毎日新聞の頭に変態≠ェつくのか、お分かりにならない方は、「変態 毎日」で検索してみてください)。
 では、以下、慰安婦の給料の証拠です。

――毎日新聞1992年5月22日の記事
 第二次世界大戦中『従軍慰安婦』として強制連行されたミャンマー(旧ビルマ)で預けた軍事貯金の支払いを求めていた韓国・大邸市在住の文(ムン)玉珠(オクス)さん(68歳)が11日、山口県下関市の下関郵便局を訪れ、預けた貯金の原簿があったことが分かった。(中略) 当時「日本人として貯金した個人のお金だから直ちに返して」と訴えている。(中略)原簿によると43年6月から45年9月まで12回の貯金の記録があり、残高は26145円となっている。――

 この記事を、2ちゃんねるに貼ってくださった有志の調査によりますと、

※当時の貨幣価値
・日本の国家年間予算 24億円
・戦艦大和      1億2000万円
・総理大臣月給    800円(東条英機)
・陸軍大将月給    550円
・大卒初任給 約   100円
・一般日本兵月給   15〜25円
・慰安婦の月収    1000円〜2000円(アメリカ軍の調書)
・元慰安婦、文玉珠の2年3ヶ月の郵便貯金、26145円
※26145円(現在の貨幣価値で約1億円)を約2年で貯金した売春婦。
 これが強制連行ですか?www

 だそうです。
 閑話休題(あだしごとはさておきつ)。
 金両基に戻ります。



 さて、さらに、金両基はこんなことも言っています。ページ数は、相前後しますがp103です。やはり、そのまま引用します。

――見解が違うのならば、どこが違うかを確認し、議論すればいいんです。でも、そういう風潮が日本ではあまり育っていない。好き嫌いだけで判断し、レッテルを貼ってしまう。意見の違いがあっても、価値観の違いがあっても、対話が出来るのが民主主義社会のひとつのあり様だと思います。私はテレビでのコメントや新聞記事を誤解されて、よく脅迫の電話や文章を頂きます。「韓国に帰れ!」「お前の給料は税金なんだ。教員をクビにしてやる!」「爆弾しかけちゃうぞ!」などですが、いずれも名前や住所を隠しての抗議です。困った現象ですが、私はわたり合います。逃げません。――

 おっと、大きく出ましたね。

「私はわたり合います。逃げません」

 ここは、是非忘れないで、憶えておいてください。
 試験に出しますよ。(笑)
 日本人は、匿名でしか抗議・脅迫してこない卑怯者、というレッテルを貼りながら、自分は、あたかも月光仮面(古)のごとく正義の味方面をする。
 では、実際に金両基が取った行動はどうだったか。
 節を改めます。


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